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なぜHIVウイルスができたのか?

特殊な肉腫や肺炎などに罹患して死亡する症例が相次いだのは、1980年頃のアメリカにおいてです。20-30代の5人のゲイの男性の肺にカビが生えるという症状を呈して、呼吸困難で相次いで死亡しました。特徴的だったのは口腔カンジダも併発していたことで、血液中の免疫を司るCD4T細胞が著明に減少しているのが確認されています。その後もカポジ肉腫という希少ながんに、真菌性の肺炎を併発した症例の報告が相次ぐことに。当時はゲイ特有の病気との見解もありましたが、血液製剤を使用する血友病患者にも同様の症状を呈する患者が報告されたことで、血液感染に注目が集まることになります。

感染源の特定のための研究者の競争が始まりましたが、ついに1983年5月に原因となるレトロウイルスが同定され、1986年にHIV(ヒト免疫不全ウイルス)という正式名称が付されることになった訳です。しかしどこからHIV(ヒト免疫不全ウイルス)がやってきたのか、その由来は謎のままでした。
エイズ感染原因のメカニズムの研究に研究者が奮闘するなかで、ある種のサルにも似たような症状が発生し進行する傾向があることに注目が集まります。そしてある研究者はマカクサルという種類の血液から、1985年にHIVに類似した構造を持つウイルスの発見に成功することになります。しかしサルとヒトは遺伝的に類似しているとはいっても、種の壁が存在するはずです。そこで研究者たちは、HIVは種の壁を越えて感染する能力を獲得したのではないかと推測しました。そしてついに流行をみせるHIVはチンパンジーに感染するある種のウイルスに酷似していることを突き止めたのです。
しかしこれだけではチンパンジーに感染したウイルスが、人間に感染することができたメカニズムは不明のままと言えます。そこで関係性が深いとみられたのは、サルやチンパンジーの肉を食べる食習慣の存在です。サル肉の血液なども直接口にすることで、ウイルスが血液感染。その後は性的感染を通じて地域に広がり、母子感染によって世代を超えて感染する者が増加し、深刻なエイズ禍が進行することになったと現在では推測されています。

ひとたび人間社会に感染が拡大してしまえば、性的感染や母子感染などを通じて、感染者数とエリアは拡大することになったわけです。現在では7000万人以上がHIVに感染し、エイズを発症するなどして既に3500万人が死亡下と推測されているのです。