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手の平や足裏にできたブツブツはもしかすると梅毒かも

女性を診ている医者

梅毒といえば日本では花柳病という風流な名称が与えられていることからも窺えるように、身近な性感染症の一種でした。名前が風流なのとは裏腹に、抗生物質が発見される前は最終的には生命予後にもかかわる病気の一種として恐れられてきました。経過途中で鼻が崩れるなどの容貌上の変化を来たすこともあり、歴史上の偉人のなかにも梅毒に斃れた事例もあるほどです。こういった様相が一変したのは、ペニシリンを初めとした抗生物質などの抗菌薬の登場です。抗生物質の投与で梅毒は治癒できる病気となり、公衆衛生環境の向上とあいまって、もはや昔の病と考えられてきました。ところがここ10年ほど、梅毒の新規患者数は増加しており、年間4000人台で推移しています。患者数で見れば淋病に比較すれば少ないですが、増加傾向が定着していることからもはや昔の病と考えるのは妥当ではなくなっています。性交渉を持つ機会がある限り、誰でも感染するリスクのある性感染症として梅毒を認識する必要があるのです。そこで問題になるのは、注意を払うべき症状です。

梅毒は原因となって性行為のあと数週間ほどの潜伏期間を経て、感染部位(陰部や口腔粘膜)などに痛みのないシコリが発生します。この段階で気付いて検査に臨めば理想的ですが、自覚症状がないので放置されがちです。陰部にしこりが出来た段階で気付けなくても、手の平や足裏にブツブツがでてくることでようやく異変を自覚する場合が多いようです。手の平や足裏は、性行為とはあまり関係が無いように思えます。しかし性器から遠く離れた部位に発疹(バラ疹)が観察されるようになるというのは、逆に言えば梅毒の原因菌であるトレポネーマが全身に広がったことを意味しています。
とは言っても、手の平や足裏に発生するブツブツは、かゆみも痛みも伴いません。

手の平や足裏に発疹を発生させる原因には、細菌や白癬菌などのほか薬の副作用など色々な要因が想定されるので、放置されて診断が付くまでに時間がかかる場合もあるようです。また患者数が増加しているにもかかわらず、梅毒患者を診察する経験が少ない医師が増加しているため診断までに時間がかかる要因のひとつになっているようです。手のひらや足裏のボツボツも、やはて自然消滅し無症状でも感染が継続するという状態になります。
梅毒は抗菌薬で治癒させることが出来ますが、意識しないと見過ごされがちです。性器の変化や発疹などは軽視しないで早期診断につなげることが求められます。